「君たちは本当に仲がいいねえ」
「「はあ??」」
全く同じ言葉を全く同じタイミングで全く同じ表情で返してくれる彼らは全く面白いものだった。色々な意味で。
白革の手帳 5巻 p54~60
「遺跡調査の報告に来たんだよ。ようやく調査団の体裁も整って、不格好ながらも体系的にまとめられる体勢が出来てきたのでね。アベリオン君には気になることもあろう。それと、まあ、かつて彼の地では背を預け命をともにした仲間と飲みたいというのもあってだね」
お土産にもってきたホルムの地酒(私が特に気に入っているものだ)を彼らの前に出してみせる。私としてはこのなんとも気前のいい手土産に拍手喝采を送ってくれても良かろうと考えていたのだが、アベリオン君は「おお、サンキュー」と軽く一言、シーフォン君にいたってはちらりと視線を寄越しただけでほぼ無反応だった。ああ失敗したかな、酒などよりはローストチキン、あるいはアップルパイなどの甘いものの方が彼らにとっては喜ばしいものだったかもしれない。今度来るときは食べ物系統で攻めてみよう。
「一応軽いつまみも持ってきてるから。厚かましいかもしれないが、少し居座っても平気かい?」
「ああそれは全然いいぜ。つか別にそんな気使わなくてもいいのに」
遠慮ではなく本心なのだろう。彼は口こそ上品とは言い難いが気は良い好青年だ。ただし若干血の気が多いところが玉に瑕で、それを思うと彼の知り合いの仲ではおそらくもっとも相手の血を沸騰させることを得意とする妖術師と何故よりによって同居しているのか色々気になるところではあるが、まあ夜は長い。これから色々と語らおうではないか、色々と。
「アベリオン、僕は水」
「ういよ」
狭苦しい調理場のすみから瓶を一本取り出し、アベリオン君がシーフォン君に手渡す。続いて黒パンに干し肉に山羊のチーズ、それとおそらく朝の残りであろう野菜の炒めものをテーブルに並べれば簡素な食卓の完成であった。
「ろくなもんねーんだけど悪いな。他なんかあったっけか……おいシーフォンなんか適当に買ってこいよ」
「なんで僕様が行かなきゃならねーんだよ」
「お前俺ばっかに支度させんじゃねーよ共同分担だ共同分担」
「やだよめんどくさい」
「てんめ……」
「ああいいよ、そんな気をつかわないでくれたまえ。そこまでご馳走になっては申し訳ない。それと私が持ってきたイカの塩辛も机に加えてくれないか」
これは完全に私の趣味だったのだが、意外にもアベリオン君が喜んでくれた。ふむ、これがいけるとは君もなかなかわかりあえるじゃないか。
「じゃ、まあてきとーに食っててくれよ」
私の持ってきた酒に栓抜きを回しながらアベリオン君が言う。そうはいってもやはり私は酒と食を共に楽しみたいタチであるからおとなしく彼を待つことにしたのだが、一方さすがのシーフォン君はアベリオン君の言う前から食事に手をつけている。
「シーフォン君は飲めなかったか。これは申し訳ないことをしたね。次に来るときは何がいいか、一つリクエストしてくれないか」
私としてはアベリオン君ばかりが喜ぶものを持ってくるのも不公平だろうと気を回したつもりであったが、彼の眉間がわずかに寄ったことから察するに少し違う意味で彼に伝わってしまったらしい。年頃の少年の扱いは難しいな。
「……飲めないんじゃなくて、飲まないんだよ。わざわざ頭の回転を鈍らせるものを口にするなんて、僕にしてみたら馬鹿のすることだね!」
「お子様乙」
「ああ? なんていったアベリオン」
「ハイハイ良い子のシーフォン君はお水だけ飲んでましょうねーっつったんだ」
「お前だってそう変わらねーだろーが夜更かしのできないアベリオン君よお?」
「君たちは本当に仲が良いねえ」
「「はあ??」」
うん、仲が良くなければそこまで息ぴったりにハモらないと思うよ私は。面白いなあ君たちは、本当に。
「確かに酒は理性の糸をほどいてしまう作用があるがね、それはそう悪いことばかりでもないさ。特に普段頭を使っている人間ほど、理性の糸ががんじがらめになってほどけなくなっていることもある。そんなときに酒ってのは有用なのさ」
私なども普段は極めて理性的な行動に努めているが、だからこそ酒でハメを外すことも大切なのだよ。
「理性的……ねえ……」
何だい君たち、反論があるなら君の知性でもって根拠と論理を明確にして述べてくれたまえ。しかし彼らは何か言いたげな顔をしながらもそれ以上の追求はしなかった。ふむ、それは少しつまらないな。
「というわけでシーフォン君、君も一杯いくといい。ほら」
アベリオン君から手渡されたグラスをそのままシーフォン君にパスしようとすれば、彼は一瞬だけ戸惑うような顔をしてすぐに眉をしかめた。ふふふ。
「僕はいらないって言ってんだろ」
「まあまあ。食わず嫌いは良くないよ。いや、この場合は飲まず嫌いかな?」
「別にそういうわけじゃ……」
「とにかく試してみたまえよ。案外、酒の力で頭の余計な部分がすっとんで、真理などにも近づけるかもしれない。君の大好きな力への近道も見つけられるかもしれない」
「どんな理屈だよ」
「あくまで仮定の話だが、これを否定するには君が実際に飲んで体験してみないとできないよ。減るもんでもなし、いいじゃないか」
「いや、なんか減りそうだ。嫌だ」
むう、押しの一手ではなかなか落ちないか。しかし、グラスを掲げた手が疲れてきたなあと思ったところで、横で二杯目を注いだアベリオン君が攻撃を引き継いでくれた。彼は実に頼りになる男だな!
「別に無理に飲ませることねーだろテレージャ。わざわざ自分からいらねーっていってんだから俺たちだけで飲めばいいじゃんか。お子様に飲ませる酒はねーってな」
本心なのかあるいは挑発なのか、どちらに取ることも可能であったが、少なくともシーフォン君にとっては立派に挑発の意味をなしたらしい。すぐに私の手からグラスをぶんどった彼はその勢いのまま口を付け、中身を半分あおった。いい飲みっぷりだ。
「誰がお子様だって?」
うん、そうやってムキになるところが実にお子様らしいかな、とは勿論口にはしない程度の節度は私だってわきまえているさ。
遺跡調査団は本格的に人員を確保し、大学の協力も取り付けて、私としては遺憾であるが神殿を敵に回すだけの肝が一番据わっている人間が彼であるということでやってきたヘロデン教授と連携をとり、などという近況報告をアベリオン君は熱心に聞いてくれた。
「夜種はまだいることはいるが、以前のような不可解なまでの繁殖はしていないね。宮殿に跋扈していた不死の者どもも、今ではほとんど討伐されて姿を見せない。呪いの効力がなくなってきているんだろう。探索者たちを用心棒代わりに雇ってはいたが今ではほぼ仕事がなくてね。何人か解雇しようという話が出ているのだが、情もそれなりに移っているし、なかなかこういうことは大変でね……その点君たちと一緒に探索していたときは気楽だったな。何があっても私一人の問題だったのだから」
知識を作り上げるのは一人ではなせない。しかし集団は時に不合理な選択をする。なんとまあバランスの難しいことだ、とつい私が愚痴ってしまうのも酒のせいだろう。
そう、酒のせいだ。
「………………」
私の対面に座るアベリオン君は、元から色素が極端に薄いのもあるだろう、酒で強められた血流が顔にもあらわれ、早い話が顔を赤らめてはいたもののそれ以外はまだ別段変わるところもなかった。だがアベリオン君の横、私が好奇心から酒を勧めてみた彼は、まだ食べ物の残っているテーブルに行儀悪くつっぷし、微動だにせずにいる。うーん、こういう潰れ方をされると、ちょっと良心が痛むな。
「……さっきから動かないが、大丈夫かね、それは」
「……さあ」
そっけなく返事をしたアベリオン君が肘で横をつついてみているが、返事がないただの屍のようだ。いや酔いつぶれのようだ。
「おい、起きてんのか死んでんのか返事しろ」
いない人は手をあげてください、なんて冗談もあったなあ。彼は無理矢理肩をひっつかんでシーフォン君を机からひっぺがした。おお近い近い。
「……………」
体重を預けるところを失った彼はそのまま背もたれに寄りかかる。一応目は開いてはいる、開いてはいるが半開きで、10秒後には目を閉じて眠ってしまってもおかしくはない様子だ。こういう酔い方をする子だったんだなあ。
「眠いならベッドで寝かしてやったほうがいいかもしれないね。シーフォン君、無理強いをしてすまなかった。立てるかい?」
私は席を立ち彼の横に膝をついた。とろんとした目がこちらを見やるが、すぐに視線を逸らされる。
「……眠く、ない」
おやおや、酒の力をもってしても彼の意地はときほぐせなかったのかな? ゆるゆると首を振る動作がまるで幼子のようで、余計に見ている方を心配させる。
「その状態で何が眠くないだばーか」
一方アベリオン君は心配などしていないかのような通常運転だ。だが彼はシーフォン君の片腕を掴み席を立ち、シーフォン君にも立つように促した。
「ほら立て。自分で歩けよ。俺はおぶるの嫌だぞ」
実際この狭い家――いや失礼、簡素な家の中ではテーブルからベッドまでの距離なんてたかがしれているというかすぐそこなのだから別におぶったってたいしたことはないとは思うのだが。シーフォン君は体に根が生えたように動かない。ふむ、私が彼をおぶるという選択肢もないではないが、ここはやはり同居人の男性に任せた方がいいかね、色々と。
「…………」
「……ああもう、めんどくせー!」
アベリオン君はシーフォン君の椅子の横に座り、酔っぱらいの腕を肩に回す。それから無理に腕を引っ張る形で、なんとかシーフォン君も立ち上がった。その様を私は後ろから眺める。
「気持ち悪いとかそういうのがなければいいのだが、そこのところは大丈夫かい?」
吐きでもされると困ると考えたのだが、私の問いに対する返事はない。うーむこれは判断に困るな。
「おい、大丈夫かって聞いてんだよ。眠いだけか?頭痛いとかあるか?」
「……眠くない……頭も、痛くない……僕は、ぜんぜん、へいきで……」
そういう声が平気ではないな。まあ何かあったらそのときはそのときか。アベリオン君もそう判断したのか、本人から本人の容態を聞き出すのは諦めたらしい。うずたかく積まれた書籍の前(私の分野外の魔術書が中心なのだろうが、その光景は一介の知識人として心がときめいた)、しわくちゃのベッドにやや乱暴に彼は投げ出された。ベッドのすぐ側に本。最高だな。
「……本が多いのはいいことだが、かなり場所を取っているね。ところでリビングとこの部屋の他には広い部屋はないように思えるのだけれど――君のベッドはどこにあるんだい?」
アベリオン君の部屋も同じような様相を呈しているのなら少し見てみたいと思った故の単純な好奇心から来る質問だったが、返ってきた言葉は、好奇心を更にかきたてるようなものだった。
「や、ベッドはこれだけ」
――ほう?
「……君たちは二人で同居していると聞いていたのだが……」
「……そうだよ」
ほほう? 私は私のこれまでに培ってきたホルムの街の常識を思い返す。私は幸か不幸か西シーウァの貴族階級に生まれたもので、こう言うと角が立つから絶対に口にはしないが、某薔薇貴族風な言い方をすると「庶民の暮らしを知らない」。遺跡や発掘された文書から失われた時代の一般的な人々の暮らしを推察するのは好きで好きでたまらないが、一方で現代の風俗に疎い部分があるのも、まあ認めよう。だがしかしだね。パリス君の妹をお見舞いに行ってそこであまり楽ではないだろう暮らしぶりも目にしたが、それでも寝床ぐらいは人数分あったと記憶している。
「……私の常識が間違っていたら申し訳ないが、一般的に言えば、いくら貧民街の狭い貸し家住まいとはいってもベッドが足りないということはそうないんじゃないかい」
つとめて冷静にアベリオン君に問いかけてみると、眼鏡のむこうでは彼が少し話しにくそうにしている。話しにくいことなのか、なるほど。
「…………最初はちゃんと二つあったんだけどよ、予算をケチったら本当寝るとこぐらいしかなくて、で、時間が経つにつれて俺もこいつも大量に本を買い込んでくるからどんどん場所がなくなって、ベッドの上が本置き場になって、それならもういっそベッドのスペースに本棚置こうぜってことになって、そんでまあ、こうなった」
彼は親指で後ろの大量の本を指差し、その場に座り込んだ。ふむ、話を聞いてみればわからないでもない、というより、私からしてみるとよくわかる経緯でもあった。人間ベッドがなくても死にはしないが、本がなければ私は死んでしまう。おそらく目の前の二人も私と同じような人種だろう。それはよくわかる、のだが。
「……じゃあ君は一体どこで寝てるんだい」
至極当たり前の単純な疑問だろう? アベリオン君はますます言葉を詰まらせる。ふむ、その反応は色々とあれだね、色々と。
「大体どっちかがテーブルの上で本読みながら寝たりだとか……灯りは魔法で簡単に消せるし、普通に交替でベッド使ったりだとか」
「テーブルはうたた寝にはいいかもしれないが熟睡は出来ないだろう。交替と言ってもそんなお互い全く生活リズムをずらして生活しているということもないだろう?」
「……リビングの床に簡単に寝床を作ったりとか」
「床に直で寝るなんて、遺跡の中みたいなことを家でもやってるのかい」
「…………」
ああ困ってる困ってる。ここで一言そうだと言い切ればいいのにねえ、君もまだまだ甘い。彼は床に座り込んだまま、目の前のベッドに体を預けて間を凌いだ。その振動で先ほどからぴくりともしなかったシーフォン君が体をほんの少し動かした。ぱちりと開けた目がすぐ横のアベリオン君に焦点を合わせる。
「ああ、わり……」
反射的に口をついたのであろう彼の謝罪をシーフォン君はどこまで聞いていたのだろうか。生気に欠けたその眼差しから、彼がほぼ夢うつつであることは見て取れた。だから多分、私の存在も頭に入ってなかったんだろうね、きっと。
「……おま…も、寝…なら、勝手に……しろ……」
ろくに回っていない口でそう呟いたかと思えば、彼は私たちとは反対の部屋の壁際に小さく丸まって身を寄せた。不必要なまでに空けられたベッドの上のスペースに、何が入るのか、尼僧院の我が同士達ならば想像で補完余裕であるはずだ。
「…………っ……!」
おやおや顔が赤いねえああそうだね酒を飲んだからだったねまったく酒ってやつは困ったもんだだから私は持ってきたんだけどね?
「……さて、シーフォン君が寝落ちてしまうぐらいに居座ってしまったし、私はそろそろお暇することにするよ」
動けなくなっている彼に若干の哀れみと多大なる感謝の気持ちを込めて、私はお別れの言葉を投げかける。ここで去らぬは無粋というものだろう?
「あ、ああ…………」
「いや、つい楽しくて長居してしまった。申し訳ないね」
居間に戻り自分の荷物を手にする。おっと、中身がこぼれないように気をつけないと。薄暗い灯りの中、白い革のノートがほのかに存在を主張している。
「今度二人で私の調査に同行してくれたまえよ。君たちなら遺跡の中を誰よりも知っているだろうし、新しい区画も発見できるかもしれない」
遺跡の発掘作業が進むのは大歓迎であるからして、これは本心からのお誘いだ。勿論、他のことも期待していないこともないのだが。
「ああー、うん、わかった」
心ここにあらずという感じだなあ。まあ仕方ないか。彼は私の出方をうかがっているような印象を受ける。なんだい、スルーしないで根掘り葉掘り聞いてほしかったのかい。
「君たちならいつでも大歓迎だよ。私が調査団の中にいなかったら誰でも良いから私の名前を告げて呼び出してくれ。3人だけでということにはならないが、また探索気分で洞窟の土を踏もうではないか」
「……そうだな」
ふむ、少しは落ち着いたかな? 私は殊更にっこりと微笑み、立て付けの悪いドアをゆっくりと名残惜しげに開く。
「では、また」
「ああ」
是非ともまた会おう。私はこの日一番の笑顔を浮かべた。
「それでは、二人とも、ごゆっくり」
ドアを閉める間際のアベリオン君の表情と言ったらなかったね!
酒とその他諸々で気分よく夜道を歩く。今の私なら夜種王も一ひねりかもしれない、いや実際プリンセスとの戦いは私が一撃で彼(彼女か?)を沈めてやったんだが、ああそういえばシーフォン君がプリンセスに挑みかかったときは面白かったなあアベリオン君が無理強いして背中を押してプリンセスがじわりじわりと寄っていって最終的に逆ギレして彼が勝負を受けたんだっけか、結局舌に耐えきれなかったようだけど、あの光景はなかなかすさまじかったし面白かった。最後は涙目になっていたしね、慣れていなかったのかそれとも相手が相手だったからか。しかしその次のアベリオン君も肺の酸素を吸い尽くされて倒れていやあのときはすわ全滅かと焦ったね、私がキス魔のテレージャでなかったらどうしていたんだろうね全く。まあキス自体別に私は何でもなかったんだが、最初嫌がったのは別にポーズではなく、嫌な相手と無理矢理キスせざるを得ない男子を眺めるチャンスを失うのが惜しかったからでね、その点アベリオン君は素晴らしかった。シーフォン君が倒れたあと私をちらと眺めて、逡巡のあと自らプリンセスに向かっていった彼の背中には男気が溢れていたね。最初は躊躇うことなくシーフォン君に犠牲をなすりつけたことはこの際言及しないことにしよう。しかし夜種プリンセス相手には惜しくも技量が足りず倒れた二人だが、じゃあその二人同士なら丁度いいんじゃないかいとかいう思考に辿り着くのは尼僧院出身者(の一部)なら何の不自然もないことであってだね、プリンセス総攻めも悪くはないがね、ああでもアベシーかシーアベかは意見が別れるところかなあ私は別にどちらでも構わないのだけれど、しかしそんな他愛のない妄想がここまで来ると現実味を帯びてきたなあなどと考えてしまうわけだよ。まあ妄想はあくまで妄想にしておくのが楽しいものだから、彼らの本当のところは私は知るよしはない。だから私が彼らの家を去ったあとどうなったかはついぞ知ることがない。ん? そんなこと言わずに引き返してのぞき見してこい? いやいやそれは私はしないよ、何故ならば一番大事なことは脳内で補完するのが我々のしきたりだからだ、そうだろう? ぬとぬとした友情は首をつっこまず遠くから慈しんで見守り、見ていないところでは何をしているか妄想するものと古来から決まっているものさ。
さあわかったら、人類に与えられし想像力という偉大なる力を用いて君の手にある白革のノートにこの後の彼らの顛末を書き記し、一晩おいてチェックしたあとで私のところに持ってくるんだ!
了
「「はあ??」」
全く同じ言葉を全く同じタイミングで全く同じ表情で返してくれる彼らは全く面白いものだった。色々な意味で。
白革の手帳 5巻 p54~60
「遺跡調査の報告に来たんだよ。ようやく調査団の体裁も整って、不格好ながらも体系的にまとめられる体勢が出来てきたのでね。アベリオン君には気になることもあろう。それと、まあ、かつて彼の地では背を預け命をともにした仲間と飲みたいというのもあってだね」
お土産にもってきたホルムの地酒(私が特に気に入っているものだ)を彼らの前に出してみせる。私としてはこのなんとも気前のいい手土産に拍手喝采を送ってくれても良かろうと考えていたのだが、アベリオン君は「おお、サンキュー」と軽く一言、シーフォン君にいたってはちらりと視線を寄越しただけでほぼ無反応だった。ああ失敗したかな、酒などよりはローストチキン、あるいはアップルパイなどの甘いものの方が彼らにとっては喜ばしいものだったかもしれない。今度来るときは食べ物系統で攻めてみよう。
「一応軽いつまみも持ってきてるから。厚かましいかもしれないが、少し居座っても平気かい?」
「ああそれは全然いいぜ。つか別にそんな気使わなくてもいいのに」
遠慮ではなく本心なのだろう。彼は口こそ上品とは言い難いが気は良い好青年だ。ただし若干血の気が多いところが玉に瑕で、それを思うと彼の知り合いの仲ではおそらくもっとも相手の血を沸騰させることを得意とする妖術師と何故よりによって同居しているのか色々気になるところではあるが、まあ夜は長い。これから色々と語らおうではないか、色々と。
「アベリオン、僕は水」
「ういよ」
狭苦しい調理場のすみから瓶を一本取り出し、アベリオン君がシーフォン君に手渡す。続いて黒パンに干し肉に山羊のチーズ、それとおそらく朝の残りであろう野菜の炒めものをテーブルに並べれば簡素な食卓の完成であった。
「ろくなもんねーんだけど悪いな。他なんかあったっけか……おいシーフォンなんか適当に買ってこいよ」
「なんで僕様が行かなきゃならねーんだよ」
「お前俺ばっかに支度させんじゃねーよ共同分担だ共同分担」
「やだよめんどくさい」
「てんめ……」
「ああいいよ、そんな気をつかわないでくれたまえ。そこまでご馳走になっては申し訳ない。それと私が持ってきたイカの塩辛も机に加えてくれないか」
これは完全に私の趣味だったのだが、意外にもアベリオン君が喜んでくれた。ふむ、これがいけるとは君もなかなかわかりあえるじゃないか。
「じゃ、まあてきとーに食っててくれよ」
私の持ってきた酒に栓抜きを回しながらアベリオン君が言う。そうはいってもやはり私は酒と食を共に楽しみたいタチであるからおとなしく彼を待つことにしたのだが、一方さすがのシーフォン君はアベリオン君の言う前から食事に手をつけている。
「シーフォン君は飲めなかったか。これは申し訳ないことをしたね。次に来るときは何がいいか、一つリクエストしてくれないか」
私としてはアベリオン君ばかりが喜ぶものを持ってくるのも不公平だろうと気を回したつもりであったが、彼の眉間がわずかに寄ったことから察するに少し違う意味で彼に伝わってしまったらしい。年頃の少年の扱いは難しいな。
「……飲めないんじゃなくて、飲まないんだよ。わざわざ頭の回転を鈍らせるものを口にするなんて、僕にしてみたら馬鹿のすることだね!」
「お子様乙」
「ああ? なんていったアベリオン」
「ハイハイ良い子のシーフォン君はお水だけ飲んでましょうねーっつったんだ」
「お前だってそう変わらねーだろーが夜更かしのできないアベリオン君よお?」
「君たちは本当に仲が良いねえ」
「「はあ??」」
うん、仲が良くなければそこまで息ぴったりにハモらないと思うよ私は。面白いなあ君たちは、本当に。
「確かに酒は理性の糸をほどいてしまう作用があるがね、それはそう悪いことばかりでもないさ。特に普段頭を使っている人間ほど、理性の糸ががんじがらめになってほどけなくなっていることもある。そんなときに酒ってのは有用なのさ」
私なども普段は極めて理性的な行動に努めているが、だからこそ酒でハメを外すことも大切なのだよ。
「理性的……ねえ……」
何だい君たち、反論があるなら君の知性でもって根拠と論理を明確にして述べてくれたまえ。しかし彼らは何か言いたげな顔をしながらもそれ以上の追求はしなかった。ふむ、それは少しつまらないな。
「というわけでシーフォン君、君も一杯いくといい。ほら」
アベリオン君から手渡されたグラスをそのままシーフォン君にパスしようとすれば、彼は一瞬だけ戸惑うような顔をしてすぐに眉をしかめた。ふふふ。
「僕はいらないって言ってんだろ」
「まあまあ。食わず嫌いは良くないよ。いや、この場合は飲まず嫌いかな?」
「別にそういうわけじゃ……」
「とにかく試してみたまえよ。案外、酒の力で頭の余計な部分がすっとんで、真理などにも近づけるかもしれない。君の大好きな力への近道も見つけられるかもしれない」
「どんな理屈だよ」
「あくまで仮定の話だが、これを否定するには君が実際に飲んで体験してみないとできないよ。減るもんでもなし、いいじゃないか」
「いや、なんか減りそうだ。嫌だ」
むう、押しの一手ではなかなか落ちないか。しかし、グラスを掲げた手が疲れてきたなあと思ったところで、横で二杯目を注いだアベリオン君が攻撃を引き継いでくれた。彼は実に頼りになる男だな!
「別に無理に飲ませることねーだろテレージャ。わざわざ自分からいらねーっていってんだから俺たちだけで飲めばいいじゃんか。お子様に飲ませる酒はねーってな」
本心なのかあるいは挑発なのか、どちらに取ることも可能であったが、少なくともシーフォン君にとっては立派に挑発の意味をなしたらしい。すぐに私の手からグラスをぶんどった彼はその勢いのまま口を付け、中身を半分あおった。いい飲みっぷりだ。
「誰がお子様だって?」
うん、そうやってムキになるところが実にお子様らしいかな、とは勿論口にはしない程度の節度は私だってわきまえているさ。
遺跡調査団は本格的に人員を確保し、大学の協力も取り付けて、私としては遺憾であるが神殿を敵に回すだけの肝が一番据わっている人間が彼であるということでやってきたヘロデン教授と連携をとり、などという近況報告をアベリオン君は熱心に聞いてくれた。
「夜種はまだいることはいるが、以前のような不可解なまでの繁殖はしていないね。宮殿に跋扈していた不死の者どもも、今ではほとんど討伐されて姿を見せない。呪いの効力がなくなってきているんだろう。探索者たちを用心棒代わりに雇ってはいたが今ではほぼ仕事がなくてね。何人か解雇しようという話が出ているのだが、情もそれなりに移っているし、なかなかこういうことは大変でね……その点君たちと一緒に探索していたときは気楽だったな。何があっても私一人の問題だったのだから」
知識を作り上げるのは一人ではなせない。しかし集団は時に不合理な選択をする。なんとまあバランスの難しいことだ、とつい私が愚痴ってしまうのも酒のせいだろう。
そう、酒のせいだ。
「………………」
私の対面に座るアベリオン君は、元から色素が極端に薄いのもあるだろう、酒で強められた血流が顔にもあらわれ、早い話が顔を赤らめてはいたもののそれ以外はまだ別段変わるところもなかった。だがアベリオン君の横、私が好奇心から酒を勧めてみた彼は、まだ食べ物の残っているテーブルに行儀悪くつっぷし、微動だにせずにいる。うーん、こういう潰れ方をされると、ちょっと良心が痛むな。
「……さっきから動かないが、大丈夫かね、それは」
「……さあ」
そっけなく返事をしたアベリオン君が肘で横をつついてみているが、返事がないただの屍のようだ。いや酔いつぶれのようだ。
「おい、起きてんのか死んでんのか返事しろ」
いない人は手をあげてください、なんて冗談もあったなあ。彼は無理矢理肩をひっつかんでシーフォン君を机からひっぺがした。おお近い近い。
「……………」
体重を預けるところを失った彼はそのまま背もたれに寄りかかる。一応目は開いてはいる、開いてはいるが半開きで、10秒後には目を閉じて眠ってしまってもおかしくはない様子だ。こういう酔い方をする子だったんだなあ。
「眠いならベッドで寝かしてやったほうがいいかもしれないね。シーフォン君、無理強いをしてすまなかった。立てるかい?」
私は席を立ち彼の横に膝をついた。とろんとした目がこちらを見やるが、すぐに視線を逸らされる。
「……眠く、ない」
おやおや、酒の力をもってしても彼の意地はときほぐせなかったのかな? ゆるゆると首を振る動作がまるで幼子のようで、余計に見ている方を心配させる。
「その状態で何が眠くないだばーか」
一方アベリオン君は心配などしていないかのような通常運転だ。だが彼はシーフォン君の片腕を掴み席を立ち、シーフォン君にも立つように促した。
「ほら立て。自分で歩けよ。俺はおぶるの嫌だぞ」
実際この狭い家――いや失礼、簡素な家の中ではテーブルからベッドまでの距離なんてたかがしれているというかすぐそこなのだから別におぶったってたいしたことはないとは思うのだが。シーフォン君は体に根が生えたように動かない。ふむ、私が彼をおぶるという選択肢もないではないが、ここはやはり同居人の男性に任せた方がいいかね、色々と。
「…………」
「……ああもう、めんどくせー!」
アベリオン君はシーフォン君の椅子の横に座り、酔っぱらいの腕を肩に回す。それから無理に腕を引っ張る形で、なんとかシーフォン君も立ち上がった。その様を私は後ろから眺める。
「気持ち悪いとかそういうのがなければいいのだが、そこのところは大丈夫かい?」
吐きでもされると困ると考えたのだが、私の問いに対する返事はない。うーむこれは判断に困るな。
「おい、大丈夫かって聞いてんだよ。眠いだけか?頭痛いとかあるか?」
「……眠くない……頭も、痛くない……僕は、ぜんぜん、へいきで……」
そういう声が平気ではないな。まあ何かあったらそのときはそのときか。アベリオン君もそう判断したのか、本人から本人の容態を聞き出すのは諦めたらしい。うずたかく積まれた書籍の前(私の分野外の魔術書が中心なのだろうが、その光景は一介の知識人として心がときめいた)、しわくちゃのベッドにやや乱暴に彼は投げ出された。ベッドのすぐ側に本。最高だな。
「……本が多いのはいいことだが、かなり場所を取っているね。ところでリビングとこの部屋の他には広い部屋はないように思えるのだけれど――君のベッドはどこにあるんだい?」
アベリオン君の部屋も同じような様相を呈しているのなら少し見てみたいと思った故の単純な好奇心から来る質問だったが、返ってきた言葉は、好奇心を更にかきたてるようなものだった。
「や、ベッドはこれだけ」
――ほう?
「……君たちは二人で同居していると聞いていたのだが……」
「……そうだよ」
ほほう? 私は私のこれまでに培ってきたホルムの街の常識を思い返す。私は幸か不幸か西シーウァの貴族階級に生まれたもので、こう言うと角が立つから絶対に口にはしないが、某薔薇貴族風な言い方をすると「庶民の暮らしを知らない」。遺跡や発掘された文書から失われた時代の一般的な人々の暮らしを推察するのは好きで好きでたまらないが、一方で現代の風俗に疎い部分があるのも、まあ認めよう。だがしかしだね。パリス君の妹をお見舞いに行ってそこであまり楽ではないだろう暮らしぶりも目にしたが、それでも寝床ぐらいは人数分あったと記憶している。
「……私の常識が間違っていたら申し訳ないが、一般的に言えば、いくら貧民街の狭い貸し家住まいとはいってもベッドが足りないということはそうないんじゃないかい」
つとめて冷静にアベリオン君に問いかけてみると、眼鏡のむこうでは彼が少し話しにくそうにしている。話しにくいことなのか、なるほど。
「…………最初はちゃんと二つあったんだけどよ、予算をケチったら本当寝るとこぐらいしかなくて、で、時間が経つにつれて俺もこいつも大量に本を買い込んでくるからどんどん場所がなくなって、ベッドの上が本置き場になって、それならもういっそベッドのスペースに本棚置こうぜってことになって、そんでまあ、こうなった」
彼は親指で後ろの大量の本を指差し、その場に座り込んだ。ふむ、話を聞いてみればわからないでもない、というより、私からしてみるとよくわかる経緯でもあった。人間ベッドがなくても死にはしないが、本がなければ私は死んでしまう。おそらく目の前の二人も私と同じような人種だろう。それはよくわかる、のだが。
「……じゃあ君は一体どこで寝てるんだい」
至極当たり前の単純な疑問だろう? アベリオン君はますます言葉を詰まらせる。ふむ、その反応は色々とあれだね、色々と。
「大体どっちかがテーブルの上で本読みながら寝たりだとか……灯りは魔法で簡単に消せるし、普通に交替でベッド使ったりだとか」
「テーブルはうたた寝にはいいかもしれないが熟睡は出来ないだろう。交替と言ってもそんなお互い全く生活リズムをずらして生活しているということもないだろう?」
「……リビングの床に簡単に寝床を作ったりとか」
「床に直で寝るなんて、遺跡の中みたいなことを家でもやってるのかい」
「…………」
ああ困ってる困ってる。ここで一言そうだと言い切ればいいのにねえ、君もまだまだ甘い。彼は床に座り込んだまま、目の前のベッドに体を預けて間を凌いだ。その振動で先ほどからぴくりともしなかったシーフォン君が体をほんの少し動かした。ぱちりと開けた目がすぐ横のアベリオン君に焦点を合わせる。
「ああ、わり……」
反射的に口をついたのであろう彼の謝罪をシーフォン君はどこまで聞いていたのだろうか。生気に欠けたその眼差しから、彼がほぼ夢うつつであることは見て取れた。だから多分、私の存在も頭に入ってなかったんだろうね、きっと。
「……おま…も、寝…なら、勝手に……しろ……」
ろくに回っていない口でそう呟いたかと思えば、彼は私たちとは反対の部屋の壁際に小さく丸まって身を寄せた。不必要なまでに空けられたベッドの上のスペースに、何が入るのか、尼僧院の我が同士達ならば想像で補完余裕であるはずだ。
「…………っ……!」
おやおや顔が赤いねえああそうだね酒を飲んだからだったねまったく酒ってやつは困ったもんだだから私は持ってきたんだけどね?
「……さて、シーフォン君が寝落ちてしまうぐらいに居座ってしまったし、私はそろそろお暇することにするよ」
動けなくなっている彼に若干の哀れみと多大なる感謝の気持ちを込めて、私はお別れの言葉を投げかける。ここで去らぬは無粋というものだろう?
「あ、ああ…………」
「いや、つい楽しくて長居してしまった。申し訳ないね」
居間に戻り自分の荷物を手にする。おっと、中身がこぼれないように気をつけないと。薄暗い灯りの中、白い革のノートがほのかに存在を主張している。
「今度二人で私の調査に同行してくれたまえよ。君たちなら遺跡の中を誰よりも知っているだろうし、新しい区画も発見できるかもしれない」
遺跡の発掘作業が進むのは大歓迎であるからして、これは本心からのお誘いだ。勿論、他のことも期待していないこともないのだが。
「ああー、うん、わかった」
心ここにあらずという感じだなあ。まあ仕方ないか。彼は私の出方をうかがっているような印象を受ける。なんだい、スルーしないで根掘り葉掘り聞いてほしかったのかい。
「君たちならいつでも大歓迎だよ。私が調査団の中にいなかったら誰でも良いから私の名前を告げて呼び出してくれ。3人だけでということにはならないが、また探索気分で洞窟の土を踏もうではないか」
「……そうだな」
ふむ、少しは落ち着いたかな? 私は殊更にっこりと微笑み、立て付けの悪いドアをゆっくりと名残惜しげに開く。
「では、また」
「ああ」
是非ともまた会おう。私はこの日一番の笑顔を浮かべた。
「それでは、二人とも、ごゆっくり」
ドアを閉める間際のアベリオン君の表情と言ったらなかったね!
酒とその他諸々で気分よく夜道を歩く。今の私なら夜種王も一ひねりかもしれない、いや実際プリンセスとの戦いは私が一撃で彼(彼女か?)を沈めてやったんだが、ああそういえばシーフォン君がプリンセスに挑みかかったときは面白かったなあアベリオン君が無理強いして背中を押してプリンセスがじわりじわりと寄っていって最終的に逆ギレして彼が勝負を受けたんだっけか、結局舌に耐えきれなかったようだけど、あの光景はなかなかすさまじかったし面白かった。最後は涙目になっていたしね、慣れていなかったのかそれとも相手が相手だったからか。しかしその次のアベリオン君も肺の酸素を吸い尽くされて倒れていやあのときはすわ全滅かと焦ったね、私がキス魔のテレージャでなかったらどうしていたんだろうね全く。まあキス自体別に私は何でもなかったんだが、最初嫌がったのは別にポーズではなく、嫌な相手と無理矢理キスせざるを得ない男子を眺めるチャンスを失うのが惜しかったからでね、その点アベリオン君は素晴らしかった。シーフォン君が倒れたあと私をちらと眺めて、逡巡のあと自らプリンセスに向かっていった彼の背中には男気が溢れていたね。最初は躊躇うことなくシーフォン君に犠牲をなすりつけたことはこの際言及しないことにしよう。しかし夜種プリンセス相手には惜しくも技量が足りず倒れた二人だが、じゃあその二人同士なら丁度いいんじゃないかいとかいう思考に辿り着くのは尼僧院出身者(の一部)なら何の不自然もないことであってだね、プリンセス総攻めも悪くはないがね、ああでもアベシーかシーアベかは意見が別れるところかなあ私は別にどちらでも構わないのだけれど、しかしそんな他愛のない妄想がここまで来ると現実味を帯びてきたなあなどと考えてしまうわけだよ。まあ妄想はあくまで妄想にしておくのが楽しいものだから、彼らの本当のところは私は知るよしはない。だから私が彼らの家を去ったあとどうなったかはついぞ知ることがない。ん? そんなこと言わずに引き返してのぞき見してこい? いやいやそれは私はしないよ、何故ならば一番大事なことは脳内で補完するのが我々のしきたりだからだ、そうだろう? ぬとぬとした友情は首をつっこまず遠くから慈しんで見守り、見ていないところでは何をしているか妄想するものと古来から決まっているものさ。
さあわかったら、人類に与えられし想像力という偉大なる力を用いて君の手にある白革のノートにこの後の彼らの顛末を書き記し、一晩おいてチェックしたあとで私のところに持ってくるんだ!
了